『二人で生きる技術』レビュー

一見、「ああ、よくある恋愛成就本か」と思うのですが、
ひと味ふた味・・・三味くらい違うかもしれません(笑)

著者は、大塚隆史さん。
新宿2丁目でゲイバーを経営しながら、絵や写真、立体作品等を製作されているアーティストさんです。

そう。
この本は、ゲイカップルにおけるパートナーシップづくりの実践経験をもとに書かれているのです。ここが、まずひと味目の違い。
男女のカップルだったら、世間や自分自身からの容認に甘えているだけて回避できてしまう問題だっていっぱいあるんですよね。解決できないことを、「男女の違い」で片付けてしまうことができたりとか。
世間では敬遠されがちなデリケートな問題からも目をそらさず、丁寧に一人の人間として相手に向き合い続ける大塚さんの生き方に学ぶものは非常に多いです。

私が面白いなと感じたのは、この本では理論の押し付けが全くないということです。
著者は万能な恋愛マスター(!?)として存在するのではなく、悩みながらも相手との関係を諦めない、頑張り屋さんで寂しがり屋の愛すべきキャラクターとして印象に残ります。

それゆえ誰にでも共通する理論や法則を説くのではなく、他人と二人三脚で生きていく上での心構えを、先輩からのアドバイスという形で発信しています。
ここが、ふた味目。

三味目の違いは、なんといっても「パートナーシップ」の概念と、「技術」へのこだわりです。
読む前は、なんだかタイトルが味気なく感じたものです。
殺風景じゃありませんか、「二人で生きる技術」なんて。
しかし、最後まで読むとタイトルにすべての内容が凝縮されていることがわかります。

さっき、恋愛マスターではない、という表現をしましたが、それもそのはず。
著者の大塚さんは、「恋愛」には重きを置いていません。
彼が求め続けたものは、「二人で生きる」という一点だけです。

それは、生涯ラブラブでいることとは別のことです。
相手と二人で、お互いがお互いを生活上のベストパートナーであると認め合いながら、協力して毎日を生きていくということです。
これが、大塚さんにとってのパートナーシップであり、そのために必要なのは相性や運命ではなく「技術」であることをこの本は強調しています。

え、さっき「心構え」って言ってたじゃん?とツッコミが入るとまずいので補足を・・・。
「技術」そのものも、終わりにまとめられているのですが、
本当に二人で生きていきたいなら、そのための技術を身に付ける努力が必要だ、という心構え」がこの本の最も重要な部分ではないかと思いました。
心構えというより、覚悟に近いかもしれませんね。

運命の人とずっとラブラブでいるというファンタジーも幸せですが、
生身の相手との実生活を前提とした関係づくりもとても楽しく、それ自体が生きがいになり得るというワクワクを呼び起こしてくれる本でした。

家大塚隆史のサイト・タコ


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